子の体調不良で出勤できない!ICTを活用した柔軟な働き方(当院医師インタビュー)

おうちの診療所 目黒で常勤医師として働く大野医師。プライベートでは、保育園に通うお子さんのお父さんでもあります。育児中は、体調を崩したお子さんの看病のために突然出勤できなくなることもあるもの。そんなとき、仕事と家庭をできる限り両立するために工夫した当院の働き方をご紹介します。

 当日の朝、私の子どもが体調を崩し、保育園には行けないと判断しました。妻も働いていて、特にこの日は当日急に仕事を休むのが難しい金曜日でした。なので、私が子の看護担当となり、出勤できないことになりました。

 朝7時30分に、職場のみなさんに「子どもが体調を崩したので1日お休みをいただきたい」と連絡を入れました。おうちの診療所ではコミュニケーションツールのSlackを使っているので、いつでも職員全員が見られるところにテキストメッセージを送ることができます。

 この日のスケジュールは、午前に私も何度か訪問したことがある認知症グループホームで15人ほど診て、午後に居宅でお2人を診るというもので、比較的余裕がありました。朝イチ連絡の時点で、(1)グループホームの患者さんたちは比較的落ち着いているので当院の看護師に行ってもらって遠隔で処方や指示出しをさせてもらえないか、(2)午後のお一人は他の医師に訪問してもらえないか、(3)もうお一人は4日前が初診で一度診ていた方だったので、遠隔対応させてもらえないか、と提案。9時に始まる朝のカンファレンスにZoomで参加し、この提案でいくことに決まりました。

当日の診療予定のほとんどが遠隔で対応可能に

 グループホームでは、現地に行ってもらった当院看護師から、Slackで傷の写真を送ってもらったり、テレビ電話をつないでもらって問診することができました。採血したい患者さんもあらかじめ決めていたので、看護師に遠隔指示を出して採血してもらいました。当院の電子カルテはクラウド型なので、自宅にいても採血オーダーを出したり、薬局に処方箋をFAXできます。いつもの薬剤に加え、問診で聞いたお困り事に対応する薬剤を追加処方しました。

 午後の居宅のお二人のうち、お一人はがん末期で衰弱してきている方だったため、提案通り他の医師に訪問してもらうことになりました。もうお一人は割と落ち着いている方だったので、奥様に電話して遠隔で病状確認をしました。処方の調整も行い、患者さんの体調管理にご迷惑をかけることなく対応できました。

 当日の朝急きょ出勤できないことが決まったのですが、結果的にお一人以外は自分で診療することができました。

6時間半の遠隔勤務で感じたICT化の恩恵

 診療以外では、子どもが落ち着いたタイミングで書類作成やカルテ書きなどのバックオフィス業務をしていました。Slackには医療事務や医療職が受けた電話の内容が蓄積されていて、自分に関連するものは通知が来る仕組みになっています。金曜は週末前のため、「薬がなくなりそう」とか、「点滴薬を多めに出しておいてほしい」といった連絡がたくさんきます。そういった連絡にもかなり対応できました。

 振り返ってみると、自宅で子どものケアをして過ごしながらも、思ったより仕事ができました。働くことができた時間だけ勤怠記録をつけていたのですが、6時間30分の勤務ができていました。病院だったら出勤できなければ勤務は0時間になってしまうところを、6時間半も働けたのは大きな違いだと感じました。診療所としても、医師が1人急に出勤しなくなって、その医師が診察する予定だった患者さんを全て別の医師に振り分けるのも大変ですから、win-winと言えるでしょう。

 この働き方ができたのも、Slackとクラウド型電子カルテ、クラウドでいつでも見られるマニュアルがあったからです。直接電話を受けることができなくても、Slackで電話の通知がくることで、タイミングが合うときに自分で発信して電話業務をすることもできました。朝と夕のカンファレンスはZoomで参加、さらにSlack上で他の診療チームがテキストにまとめて発信してくれるので、動きも分かります。ICT化の進む当院だからこそできた柔軟な医師の働き方を実践できたのは良い経験でした。急な事態に対応していただいた診療所スタッフの皆さんに感謝いたします。


おうちの診療所では、医師の働き方の選択肢を広げるべく、さまざまな挑戦をしています。たとえば、下記の「フレキシブル常勤」は、社会保障に加入できる週30時間を、フレキシブルな働き方で実現するものです。「臨床を週3日に抑えたい」、「育児中なので遅め出勤・早め退勤したい」といった、個別の事情に合わせた働き方を、一緒に考えていきたいと思っています。お気軽にご連絡ください!
●医師(フレキシブル常勤)