「夏の自由研究」で加速した共創型コミュニティの楽しみ方

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今年も、SHIPでは「夏の自由研究」を行いました。自由研究は、メンバーが興味に応じてチームを作り、相互理解を深めながらアクションを起こすための企画です。今回のテーマは下記の7つ。一番関心が高いテーマを1つ選び、「何をするか」からチームで話し合って、1カ月半後に結果を発表しました。

(1)地域
(2)医療機器・デザイン
(3)IT
(4)ウィメンズヘルス
(5)採用・育成
(6)経営・政策
(7)多職種連携

 発表会では、各チームから様々な成果が報告されました。

(1)地域チーム

分身ロボット「OriHime」と一緒に、みんなで街歩きをしました。メンバーは医師、看護師、作業療法士、産業保健師、薬剤師と、全員が医療資格保持者だったこのチーム。
新型コロナウイルス蔓延により、リアルでの交流が制限される一方で、ICTは急速な進歩を見せています。「地域の定義や価値が曖昧になる今だからこそ、『地域』を再発見するような取り組みをしてみたい」ということで、OriHimeを使ってみることにしました。
OriHimeは、オリィ研究所のプロダクト。遠隔操作できる小型のロボットで、専用アプリで視界を動かしたり声を出せます。

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メンバーは東京・下北沢にあるボーナストラックにフィールドワークに赴き、発表会でレポートしてくれました。

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遠隔地のメンバーはOriHime越しにフィールドワークに参加し、会話したり、店員さんへの注文にトライして、様々な学びがあったようです。詳しくはメンバーが書いたnoteをご覧ください!

(2)医療機器・デザインチーム

メンバーの娘で、気管切開をしているリナちゃんの日常での困りごとを1つ解決するプロジェクトに取り組むことになりました。夏ということもあり、テーマを「年下の兄弟たちと安心して水遊びができるような環境を作る」に決定しました。
気管切開とは、うまく呼吸できなくなったときに、喉に穴(気切孔)を開け、肺に直接空気を送る処置のこと。気切孔にはカニューレという管が留置されています。カニューレの先には「人工鼻」というフィルターが付いており、冷たく乾いた空気が直接肺に流れこんで痰や咳を増やすことがないよう、吸気を加湿したり濾過する役目を果たしています。
普段のリナちゃんは、気切孔から水が浸入して肺炎につながることを防ぐべく、首にタオルを巻いて慎重に入浴したり、浮き輪や浮き袋を体に巻いた上で保護者が注意しながら水遊びをさせていました。万が一、気切孔から水が入ったときは、吸痰機で即吸引を行います。
そこで、アイデアを考えるときの要件が3つまとまりました。

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医療従事者だけでなく、IT企業に勤める薬剤師や起業医師などもいるメンバーから、下記のようなアイデアが挙がりました。

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安全性に関しても、下記のようなポイントで検討しました。

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アイデアのうちの1つは、実際に今SHIPで開催されている「3Dプリントゼミ」で試作されています。実物ができあがるのが楽しみです!

(3)ITチーム

新型コロナウイルス感染管理サービス「AMAVICO(アマビコ)」を開発しました。

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新型コロナウイルス感染症の蔓延に伴い、従業員に毎日体温を計って報告させたり、かぜ症状がある場合は報告の上休ませたりといった業務が発生している事業所は多いのではないでしょうか。AMAVICOは、発熱やかぜ症状の有無など、日々の健康報告をLINEで行える感染管理サービスです。LINEのチャットボットとの会話を通して、日々の健康報告が簡易化。自動集計やリマインド通知など、運用サポート機能も搭載されています。いままで口頭連絡や紙運用で行っていた健康管理のための報告を簡単に、そして安全に行えるようにしました。

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既に複数の企業や大学に導入されており、中でも産業医科大学では大規模な試験導入がされています(プレスリリース)。この成果は、アジア太平洋ヘルスサポート学会第15回学術集会・総会でも発表しました。
詳しくはメンバーが書いたnoteをご覧ください!

(4)ウィメンズヘルスチーム

産婦人科医含む医師を始め、イラストレーターや編集者、理学療法士、ヘルスケア企業、医療広報などが集まったチームです。ブレストの結果、一番メンバーの関心が高かった「月経」にまつわる研究に取り組むことにしました。
月経にまつわるお悩みとして、ヒアリングなどで調査したところ、医師や、当事者である女性、男性それぞれにお悩みがあることが確認できました。

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特に、当事者である女性の「誰に相談していいか分からない」「そもそも月経は大変なのが当たり前で、相談したり解決を模索するものだと思っていない」という部分を少しでも改善すべく、「みんなが月経を正しく理解して受け入れ、対処できるものだと知っている世界」を目指した取り組みを行うことになりました。
まず、産婦人科医監修のもと、月経に関して知ってほしい豆知識をまとめました。その上で、目にとまるように作ったお悩みイラストや、共感を生むことを目的にしたアイテムイラスト(あるあるネタ)、さらに流れに合った豆知識のテキストを組み込み、SNSで公開していくことにしました。全部で4パターンあるので、見てみてくださいね!

加えて、興味を持ってくれた人がしっかり読めるようなテキストもnoteにまとめています。こちらは、今後、ガイドブックを作成するためのストックとしても利用していく予定とのこと。

こうした取り組みを通して、女性が少しでも自分にフィットした選択肢を見つけるヒントになったらいいですね!

(5)採用・育成チーム

メンバー2人がデザインツール「Canva」を使った採用資料をSlideShareに公開しました。
(1)採用広報資料 一般財団法人ひふみ会 まちだ丘の上病院 

(2)LE在宅・施設訪問看護リハビリステーション


また、新卒医療従事者のうち、特にマイナーキャリアを選んだ人を対象としたイベントを企画・実施。参加者からは、「職場以外の人と出会えて良かった」「ほんの小さなことだけど、この半年でしたことを確認できてよかった!」という感想をもらい、新卒教育を考える上でもヒント(どういうことで躓きやすいのか・不安を抱えやすいのかが少し理解できた。スキル的な自立も大事だけど、マインド的な自立もやっぱり大事と気づいた)を得られました。

(6)経営・政策チーム

地域包括ケア「見える化」システム地域経済分析システム(RESAS:リーサス)DPCデータの加工データなどのツールを活用し、日頃から感じている疑問を分析することにしました。しかし、訪問リハビリテーションの質などは分析が難しく、厚生労働省のデータなどから、訪問リハの現状とよりよい作業療法プログラムについて検討しました。

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政策やデータの調べ方を知ることは、職場や地域の正しい情報を認識することができるようになり、一医療職として有用であると感じたそう。一方で、訪問リハビリテーションの質などの現状のデータでは知りたい情報を得られない場面もありました。そういった部分をSHIPの中で相談しながら現場での解決に近づくことは非常に有意義ですね。

(7)多職種連携チーム

「多職種連携は難しい、なかなか上手くいかない」という課題感からスタートしました。医師、看護師、理学療法士、公衆衛生大学院生と様々な職種がいたことからロールプレイングなどを行って話し合ったものの議論は煮詰まり、最終的に「原因を解明するより、患者に各職種の使い方を知ってもらうことで、患者起点で多職種連携の課題を解決できるのではないか」ということで、パンフレットのパターン作成に取りかかることに決まりました。

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「本人」を主語とし、人生の冒険中に武器を手に入れるように、各職種を適切に利用できるようになってほしい!という思いが込められたパンフレットアイデア。今後、実装に向けて相談が進む予定です。

夏の自由研究集合写真2020

 どのチームも、本業がある中で、業務後や休日にそれぞれ課題に取り組みました。普段の職場とは違う、コミュニティでの素晴らしい協働が見られました。

 こんな取り組みも行うSHIPは、2020年10月12日まで新規メンバーを募集しています。興味をお持ちいただいた方は、下記をご覧ください!

◆一歩、踏み出したい人へ。SHIP新規メンバー募集開始!

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