公衆衛生大学院(SPH)ナイト(イベントリポート)

  1. イベントリポート

9月の遠隔配信イベントは、「公衆衛生大学院(SPH)ナイト」でした!SPHとは、公衆衛生大学院(School of Public Health)の略称です。SHIPメンバーにはSPH修了者も多く、当日は、京都大学大学院医学研究科社会健康医学系専攻を修了した中山祐次郎さん、慶應義塾大学健康マネジメント研究科公衆衛生学コースを修了した加納一樹さん、SPHに興味はあったけれど行かない選択をした石井洋介さんの3人に、ぶっちゃけトークをしてもらいました。

最初にそれぞれ、SPHに進学した理由・しなかった理由と、感想を語ってもらいました。

石井
もともと外科の専門医を取ったらSPHに進学しようかなと思っていました。病院内で解決できない問題にアプローチする「魔法の杖」が手に入るんじゃないかと期待していました。

医学生時代に、公衆衛生の授業で「行動変容」などを教えてもらい、とても興味を持っていました。外科で手術の腕を磨くだけでは助けられない人もいるなと思って、SPHなどいろんな道を模索する中で、厚労省の医系技官に出会って、「君はSPHにいく時間の分、厚労省に来て実地で学んだ方がいいと思うよ」と言われて2年間、厚労省で働く決断をしました。限られた時間で、どういう学び方をするかの違いなのかなと思っています。

中山
結論から言うと、「魔法の杖」はあります!僕は実務経験がある人がマスターを得るためのコースに行きました。学びはいろいろあったけど、行く前の動機はふんわりとしていました。「医療や社会を俯瞰したい」「臨床研究ができるようになりたい」「京都に住んでみたい」といういろんな動機に加えて、「臨床を休みたい」という気持ちも少しあったと思います。

SPHの経験を今振り返ると、一番のメリットはいろんな専門家がいることを知れたこと。性教育をする人や、アンケートの専門家や、ガイドラインを製作する側の人や、医療経済といって命の値段を計算しようとしている人と出会いました。今も、そこでつながった人たちと臨床研究をやっているし、科研費を獲得できたのも、そうしたアカデミアの人たちと一緒に取り組んだからだと思います。

学生生活に集中したのは1年間で、あとの1年は臨床に戻って遠隔で学生をしていたんです。が、その学生生活の1年で、論文を1つと研究を3つ、コクランレビューも1本書きました。文筆活動もはかどりました。とてもいい期間だったなと思っています。

加納
先輩に、「一樹がSPHに行けば鬼に金棒だ」と言われて、進学を意識するようになりました。事業構想大学院に行くかSPHに行くか悩んだのですが、僕は医療現場で働く非医療資格者なので、何か武器がほしいと思ってSPHに飛び込みました。

収穫は、「意外とこんなものか」と確認できたこと、素晴らしい先生に会えたこと、研究ができたことです。

僕が進学した慶應義塾大学のSPHは、日中仕事がある人でも何とか通えるコースで、週2日くらい学校に費やせば卒業できます。内容は、一口に公衆衛生といっても幅広く、ときどきすごく面白い先生がいるのがメリットでした。一方、デメリットはあんまり面白くない授業をする先生もいること、学費が高めなことでしょうか。祐次郎さんが行っていた京都大学など、国立大学の方がお財布には優しいですよね。

今は病院の経営企画室にいて、SPHで学んだことが活かされています。転職活動していたときは、SPHを修了していることに採用側が特にメリットを感じている様子はなかったので、武器になったのかはよく分かりません。でも、医療・介護業界の全体像が分かったので、自分の言葉で提案などができるようになりました。

三者三様の動機や成果があり、この後も「どうやって志望校を選んだ?」「各校の試験の難易度は?」「学びをどうやって現場に落とし込んでいる?」「仕事と学業を掛け持ちするのは大変だった?金銭的なやりくりはどうしていた?」といった質疑応答で盛り上がりました。中には進学を考えているメンバーもいて、具体的な質問やお悩みも飛び出しました。

SHIPメンバーはイベントの録画を視聴できますので、気になる方は見てみてくださいね。

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