寿命が今日決まったら展は、健康成人向けの「一般的なACP」を早期から普及啓発する体験型展示です。
■ACPとは
「人生の最終段階における医療・ケアについて、前もって考え、家族や医療・ケアチームなどと 繰り返し話し合い、共有する取り組み」のこと
■寿命が今日決まったら展の特徴
- 展示内で仮の「余命」を決めることで、普段は意識しない「人生の残り時間」について考えてもらう体験型展示です。
- 健康成人向けのACPで推奨されている、いざ何かあったときに代理の意思決定者になるであろう身近な人と対話するきっかけを作ります。
- 持ち帰れる「私の価値観シート」、ガチャというエンターテインメント要素を取り入れた「寿命ガチャ」、自分の価値観について考え、他の人の価値観についても視覚的に知ることができる「価値観投票」、自分の思いを深掘りし価値観についてさらに考えるきっかけとする「私の選択理由ボード」など、手を動かす体験型コンテンツによって対話のきっかけを複数回創出します。
- 展示の最後には、いざというときに知っておくと助けになる情報をパネル展示によって提供していきます。
■展示内容詳細
【私の価値観シート】
寿命ガチャで出た「寿命」をはじめ、展示を回って記入しながら完成させる「私の価値観シート」。入口すぐの受付で配布します。持ち帰って、身近な人と対話するきっかけにも。
【寿命ガチャ】
ガチャをひくと出てくるボールの色に応じて「3カ月」「6カ月」「1年」「2年」「3年」「5年」「10年」の”寿命”が決まります。本展ではこの”寿命”だったら自分はどうしたいか、何を大切かを考えます。
【価値観投票】
寿命ガチャで出た”寿命”だとわかった場合、自分が残された時間でしたいことや大事にしたいことなど、3つの価値観を選びます。投票後は、どの選択肢に投票する人が多いのかなど、他の人の投票結果も含めて見える仕組みになっています。ここでどの価値観を選ぶのか、身近な人であっても予想外の選択をすることを知ったり、自分の思いに気づいたりと、多くの対話が生まれるスポットです。
【価値観投票「私の選択理由」ボード】
価値観投票で選んだ3つの価値観について、その選択理由を自由に付箋に書き、貼っていきます。多種多様な想いに触れていただけます。
【ソリューションパネル展示】
人生の最終段階が見えたときに役立つ知識を提供するパネル展示エリアです。
■なぜACPが重要なのか
どのような医療・ケアを受けたいか、人生の最終段階に本人の意思を反映させることは、本人の尊厳を守り、本人や周囲の人が「最期まで自分らしい人生を送った」と納得するために重要なポイントです。ACPのような終末期の話し合いを行った人は、行わなかった人に比べて死を受け入れられており、積極的な終末期医療が行われなかったという研究結果があります。積極的な治療を行えば行うほど、家族など介護者から見た患者の生活の質(QOL)は低下。介護者のQOLも低下し、後悔の念を持ったりうつ病になるリスクが高まりました。
ACPにおいて最も重要なのは、「呼吸が止まっても人工呼吸器は使わない」「食事が摂れなくなっても胃瘻はつくらない」といった手段を決めておくことではなく、「繰り返し話し合い、共有する」というプロセスです。具体的な手段を示す事前指示は一見明確ですが、状況によって実施されないこともあり、本人の意思を終末期医療に反映し、苦痛を軽減したり、本人や家族の満足度を上げたりする効果はなかったという研究結果が出ています。そこで、手段よりも本人の価値観や目的を重視するACPが有効だと考えられるようになってきました。手段に落とし込むことは必要ですが、そこに至るまでの本人の思いや価値観を共有しておくことで、本当の意味で意思を反映しやすくなります。
■寿命が今日決まったら展とACP
「病気や病状に応じたACP」は余命が1年程度と予測されるタイミングが推奨されており、早すぎるとメリットよりもデメリットの方が大きいとされています。ただしACPには上記のように3種類あり、健康な人または安定している人を対象とした「一般的なACP」は、ライフイベントに合わせて実施することが推奨されています。どの段階のACPでも、話し合うべき内容に含まれているのが「代理決定者は誰か」という項目です。自らの価値観、死生観を共有しておくべき人を誰にするのかは、健康な人から死が近づいてきた人まで、全ての人があらかじめ決めておきたい点です。「寿命が今日決まったら展」は、ご自身の人生における価値観、死生観、一般的なACPのきっかけとなります。
寿命が今日決まったら展は、出張開催も可能です。自治体・地域イベント、学校教育、社内研修など、開催形態もご相談させていただきます。開催に関するご相談は、株式会社omnihealにお問合せください。
■中野区長も体験
中野区役所で開催したイベントでは酒井中野区長にも体験いただきました。