AOKI GO~ヘルスケアビジネス開発入門と甲子園~

  1. イベントリポート

みなさん、こんにちは。

SHIP スタッフの甲浩子です。

突然ですが問題です。医療・介護業界で事業を生み出すために、理解すべき3つのレイヤーとは何でしょうか?

…答えは、「政策・経営・臨床」です。

まず、「政策」を通して、国が医療・介護をどうしていきたいか、今後どうなっていくか?を考える。
次に、事業を成り立たせていく上で「経営」はどうあるべきかを検討する。
そしてそれは「臨床」で求められているものなのか検証する。
医療・介護業界で事業を続けていくためには、どのレイヤーの理解が欠けても上手くいきません。

「コト」だけではなく、「ヒト」に焦点を当てる、SHIPの人気企画GOシリーズ。
第4弾の今回は、SHIP連携事業所の、
キャピタルメディカ・ベンチャーズ(以下CMV)より代表取締役青木武士さんをお迎えしました。

ヘルスケアベンチャーの調達環境が好調

青木氏によると、2017年は39社150億円だったヘルスケアベンチャーの調達状況が、2018年は5月末時点で28社90億円と、2018年は非常に勢いに乗った年だったそう。多くの事業会社が投資をしている現状から、ヘルスケアへの新規参入を狙う事業会社の多さがうかがえます。投資の内容を見てみると、5月に資金調達をした電子薬歴システムのカケハシやWeb問診のUbieなど、しっかりした会社が調達している印象だと青木氏は言います。

一方、ヘルスケアへ参入したい事業会社が多くいることで、本来の適正価格よりも高く投資してもらえる、つまりバリュエーションが高い状態であるため、ROI(投資利益率)を重視するVC」と本音も語ってくれました。

キャピタルメディカ・ベンチャーズの強みは、病院・介護施設との事業共創

青木氏が代表を務めるCMVは、EUCALIA ブランドで30施設以上の病院(計4000床以上!)の経営支援や介護施設の運営を行うキャピタルメディカを親会社に持つVCです。

親会社の病院や介護施設でCMVが投資する企業が開発するプロダクトの実証実験を行えることは、ヘルスケアVCとして大きな強みであると言えるでしょう。それだけでなく、CMV、訪問看護ステーションの設立・運営経験などヘルスケア業界での事業実績がある人ばかり。現場未経験者による机上の空論ではなく、説得力あるアドバイスができることも強みと言えます。

現在CMVは、神奈川県や金融機関、ヘルスケア事業会社などが出資したヘルスケアニューフロンティアファンドを運営していて、医療・介護・ヘルスケア・保育・農業・食事・スポーツなどの広義のヘルスケア領域のスタートアップに投資しています。(下図)。

このファンドでは、10~20社への投資、1社あたり5000~8000万円の投資額が想定されていて、「SHIPから誕生する企業にもぜひ投資したい!」と語ってもらいました。SHIPから輩出された医療や介護、ヘルスケア領域の企業との協業が見たいですね!

投資対象の目利きのポイントは?という質問に対しては、

(1)関係者を巻き込む力
(2)ローテクでも構わないので現場目線を持ったソリューション力

――の2点を持っているかだと青木氏は話してくれました。

 

青木氏の原動力:いま、完全燃焼出来ているか?

さて、大分「コト」に焦点を当ててしまったので、肝心の「ヒト」に移りましょう。

心理学者ドン・クリフトン氏の開発した才能診断ツール「ストレングスファインダー」による青木氏の資質上位5つは、
活発性(I)、収集心(T)、信念(E)、回復志向(E)、指令性(I)。
活発性と回復志向、指令性が入っているのはベンチャーキャピタリストらしい!と納得です。

では、3番目の資質「信念」を支える、青木氏の核となる価値観とは何なのでしょうか?
生い立ちから遡って対話を進めていくうちに、「いま、完全燃焼できているか?」という問いを、常に自分に投げかけていることが見えてきました。問いの背景にあるのは、高校野球での不完全燃焼。「その後悔が今につながっている」と言います。
「今、ちゃんと燃やせている」。そう断言する青木氏は、ビジネスマンとして、人として、とても素敵だなと感じました。

【筆者の感想】自己開示出来ていますか?

読者の皆さんは「自己開示」得意ですか? 私はSHIPに関わり始めてから、徐々に実践しているところです。SHIPは安心・安全な場の提供を特徴としており、そこでは「さらけ出し」が1つのキーワードとなっています。

その「自己開示」が、(上段では記載を割愛してしまいましたが)青木氏が大事にしているキーワードの1つであり、また、「経営者やリーダーにとって重要な特性であり、最近より如実にそう感じられるようになった」と語られていたことに驚きました。確かに、何を考えているか分からない人よりも、人間味ある人の方がついていきたい・助けたいと思うのかもしれませんね。

私も最近仕事でチームリーダーになったばかりで一人気負っていましたが、メンバーに弱音を吐いてみたら、それまでよりも関係性が良くなった経験をしました。自己開示、少しずつ色んな場面で試してみようと思います。
<甲>

関連記事