事業計画~VCとの付き合い方資金調達編~

  1. イベントリポート

みなさん、こんにちは。

SHIP運営の甲です。2019年度、第1発目の外部イベントは、

IF Lifetime Venturesの木村氏をお招きして、
「事業計画~資金調達編~」を行いました!

 

VCになったのは、SHIP代表石井さんの影響!?

 

SHIPは「モノ」だけでなく「ヒト」も大事にする団体ということで、本編に入る前に、木村氏がベンチャーキャピタリストになった経緯を伺いました。
まず、何故ヘルスケアなのか? それは、PwCのコンサル時代に出会ったインド人同僚の影響が大きいと言います。彼らは給与こそ自身の6割程度でしたが、非常に優秀で勢いがあったそう。市場が伸び、支援・応援者の多いインドという環境にいることがその勢いを生み出していると感じ、同様に、日本のヘルスケア産業もそんなポテンシャルがあると考えました。
では、VCに参画した経緯は何だったのでしょうか? なんと、きっかけは、弊団体SHIP代表石井さんとの出会いとのこと!当時石井さんが企画・運営に携わっていた「ヘルスケアハッカソン」の第1回目に、キャリア迷子中の木村氏が参加。そこでVCを勧めてもらい、インキュベイトファンドへ参画したそうです。

そして、20代最後の日に、「長く愛され、存在し続ける事業(Lifetime Innovation)」の立ち上げを目指す、プレシード及びシード期のスタートアップを投資対象とするファンドを立ち上げました。

 

倍は当たり前!大当たりを探せ!

 

そもそもVCとは何でしょうか? Wikipediaを参照すると、「ハイリターンを狙ったアグレッシブな投資を行う投資会社」と出てきます。短期での急速な成長を望むスタートアップは、自己資金だけではキャッシュ不足。かといって、資金回収リスクが高いので、銀行は貸してくれない。そこで資金援助してくれるのが、VCなのです。

Return=Magnitude(打点)×Frequency(打率)と分解すると、銀行は打率(=返済可能性)が高いところに投資する一方、VCは「Magnitude」(=当たり)が大きいところを狙って投資します。わかりやすく言うと、銀行は「返してくれるのが当たり前」、VCは「負けるのが当たり前、1社大当たりを目指す」という投資姿勢です。

過去事例を見ると、ROI(=Return on Investment:投資利益率)が、Facebookは1,800倍、Googleは2,800倍!FacebookのExitに伴うリターンは、なんと、それまでの5年間の全てのスタートアップのExit金額の合計とほぼ同程度だったというから驚きです。いかにリターンが偏った結果であるかがわかるかと思います。

数千倍は難しいにしても、どの程度のリターンが見込めればVCの投資対象となり得るのでしょうか?木村氏は「最低でも10~20倍」と言います。まさに、スタートアップは、ハイリスク・ハイリターンといえるでしょう。

 

モノが無くてもLPを!ダミーLP作成のススメ

 

では実際、どのような事業・ヒトに投資が行われるのでしょうか。
「ヒトのおカネを預かって投資している以上、投資には臆病にならざるを得ないことを理解して欲しい。そんな中で投資決断を促せるだけの事業説明が必須」と木村氏は言います。

 

悪い例として、事業説明の質疑応答における、よくある沈黙例を挙げてもらいました。

事業説明の質疑応答における、よくある沈黙例
  1. 「その課題に対し、今はどのように対処しているの?」
  2. 「そのプロダクトを使ったユーザーの反応は?」「具体的にどうやってユーザーに売ろうとしているの?」

    「どこの財布からの予算を狙ったもの?」

これらに答えられないのは、ユーザーに当たれていない証拠。スタートアップ失敗原因の大半が「ニーズが無かったから」という統計もあり、「まずは売りに行く」ことが重要と言います。

そして、売りに行く方法の一つとして、「ダミーLP作成」を木村氏はお勧めしました。LPとは、Landing Pageのことで、問い合わせ・購入を促す独立したページを指します。簡単に言うと、仮にまだモノが無かったとしても、そのモノにニーズがあるのか、問い合わせページを作ってしまおう、と言う事ですね。実際に、名だたるスタートアップ企業も同様の手法を取っていたそうです。

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・buffer:プロダクトを作る前に、LPを作って、ニーズを確認
参考URL https://www.lifehacker.jp/2013/10/131024buffer_how_i_work.html

・Airbnb:別事業の資金繰りに困り、宿泊代の高騰するサンフランシスコにあった自身のアパートの写真だけを載せたLPを作成したところ、反響があり、現在の事業へ移行

・Dropox:30秒のショートムービーを載せたLPがHacker Newsに掲載。7万を超える反響があり、事業化

・Zappos:オフィスの隣にあった靴屋さんで靴の写真を撮って、ネット上で販売。ネット上で売れたら、実店舗から靴を買って、配送するという事業を当初行っていた

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今は「ペラいち」等のサービスを使えば、プログラミングを知らなくても、簡単に無料でLP作成が出来る時代。
LP作成のコツ「バズ部 売れるコピーライティング https://bazubu.com/10step-writing-22.html 」等も参照しながら、事業を思い立ったらまずはLP作成をしてみましょう!

 

筆者の見解:―そこに覇気はあるか?

木村氏が投資を検討する上で見るポイントの1つに、投資対象者に「覇気」があるかどうかを挙げました。「この事業で成功する」という確信を持つからこそ出せる「覇気」。

この話、私もすごく共感しました。覇気とは少しニュアンスが異なりますが、ビジネスモデルが多少粗くても、その人がそのビジネスを背負える覚悟がある人を見ると、すごく応援したくなります。
SHIPを通して、そんな人を見つけ、応援・支援したいなと思います。
<甲>

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