SHIP出航に先立ち(代表 石井メッセージ)

  1. ニュース

はじめまして、SHIP運営代表の石井洋介と申します。「SHIPでできること」でご紹介した通り、SHIPは東京都の補助金を受けて運営されている、ヘルスケアに特化したインキュベーションセンターです。我々に与えられたミッションは、新たな時代を創出するヘルスケア事業の支援です。

ヘルスケア事業は、昨今かなりの盛り上がりを見せています。資金が豊富に出ていることから支援者も多数いますし、厚労省や経産省などの省庁も専門部署を作り、国を挙げて支援する体制が構築されています。一方、ヘルスケア事業が次々と生まれているかというと、そうとは言い切れない印象です。

 

ヘルスケア事業がうまくいかない3つの理由


(1)大手企業が新規事業としてヘルスケア業界に参入する場合、既存の技術ありきで現場の課題感と乖離していることが多い

(2)ヘルスケア産業にはかなり複雑な要素と制度設計があるため、生半可な知識で参入すると怪我をする領域である

(3)医療者が現場の課題を共有する相手も医療職となることが多く、解決策にたどり着けないケースがある

ヘルスケア事業がうまくいかない要素としてはこの3点がありますが、根本的なところで、リスクを取って自ら動く人材が少ないことが挙げられます。こうした人材を輩出する環境が整えば、いつかはヒットを飛ばすこともできるでしょう。まずバッターボックスに立つ回数が少ないことが、日本のヘルスケア事業に足りていない点だと感じています。

我々SHIPでは(1)~(3)の対応に加え、挑戦者が安心してリスクを取れる環境作りに力を入れています。では、リスクを取ろうと思える環境はどんなものなのかと考えると、コミュニティー形成による互助の形成が最大のリスク回避策なのではないかという仮説を立てました。

 

創発」のために必要な安心・安全な拠点

これまで知識が生産され拡散されるプロセスは、一つの仮説に基づき、トライ&エラーを繰り返して極めていくスタイルでした。一人の天才が仮説を立て、それを実証・実装してきた時代が続いてきました。しかし現在は、個人の一意見や能力が集約されて作り上げられる「創発」というスタイルが確立されてきていると感じています。私は、この創発こそが今の医療に最も必要な考え方だと考えています。

ヘルスケアは、これからますます先の読めない時代に突入していきます。いわゆる団塊の世代が75歳を迎える2025年問題まで後7年。いよいよカウントダウンが始まります。そこから2060年まで、これまでに人類が経験したことのない高齢社会と人口減少が同時に日本全国、全世界を襲います。さらにやっかいな事に、この変化には地域差もあります。

私が医学部時代を過ごした高知県は2018年の今、既に人口減少が起こっていますが、現在住んでいる東京都はまだ人口増加が続いています。医療・介護業界は、こうした誰も経験したことのない社会に突入することになります。

そんな時代に、画一的に作り上げられてきた制度設計が対応することはできません。

 

人類が経験したことのないこれからの時代

これを乗り越えるために必要な創発に携わる人材を育成することが、SHIPの目標となっています。

SHIPを始めるに当たり、意識したのは私自身の体験です。医師として臨床を行う傍ら、スマホゲームアプリの「うんコレ」や、便潜血の検出ができるシンギュラリティートイレ「GAIA」の製作、メディアやコンテンツマーケティングによる地域医療ブランディングなどの活動を行ってきました。ビジネスもものづくりも医学部で学ぶことはありません。全ては現場の課題や思いから、時には本やWebで学び、時には大学院に通って試行錯誤を繰り返しながらプロジェクトを進めてきました。その中でも特に重要だったのは、私の考えに賛同し共感してくれた仲間との出会いでした。

自分一人でアイデアを出し、学んで、実装し続けるには限界があります。実装してから世に出るまでには多くの関門があります。これを乗り越えられた最大のポイントは、どのような意見を出しても否定されることのない「安心・安全」な場で、多様な立場や能力の人が意見を言い合える環境を構築していったことだったと感じています。安心安全が確立された上で初めて、自由な発想の積み上げによる創発が生まれると感じています。事実、このように作られた私のプロダクトは医療者だけでは出せなかったものです。いずれも、もうすぐ世に放たれようとしています。

 

SHIPが提供したい最大の価値

SHIPが提供したい最大の価値は、「心理的安全が担保された場所」の提供です。

あなたが感じている医療・介護の課題を解決したいと考えたとき、まず一番重要なことは、心理的安全が担保されている場を持つことです。そこでアイデアを伝えることで、色々な人が協力してくれる環境を作ることだと思っています。

誰も思いつかなかった方法が産まれるのは、誰もが考えたことがないような事を言っても批判されず、止められず、応援してもらえる、そんな安全な場があるからこそです。SHIPは、この「安全な場」を提供する事こそが価値だと考えています。

あなたが目指す世界はどこですか? ぜひSHIPで教えてください。

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