「おうちの診療所」ってどんな診療所?

おうちの診療所は、東京都目黒区と中野区にある、訪問診療を主とした診療所です。機能強化型在宅療養支援診療所※1かつ在宅緩和ケア充実診療所※2に認定されており、24時間365日体制で地域の方の暮らしを支えています。小児と血小板濃厚液(PC)輸血以外であれば、どのような病態の方もお断りしないようにしています(当院からの距離のみ制限あり)。

※1 機能強化型在宅療養支援診療所…複数の医師による診療体制や、24時間365日の連絡体制、往診・お看取りについて報告や実績が認められた診療所
※2 在宅緩和ケア充実診療所…機能強化型在宅療養支援診療所のうち、がん性疼痛の緩和ケア研修を修了した医師が適切な鎮痛薬投与で痛みのコントロールを行っている実績が十分にあることなどがさらに認められた診療所
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目次

  1. 当院の理念
  2. 「関係の質」を重視する診療所
  3. 行動指針3つの柱
  4. 「働きたくなる」職場であるために
  5. 他事業所もチームの一員と考え協業しよう
  6. 在宅医療の質の指標「QI-8」
  7. ワクワクしながら働くために
  8. おうちの診療所についてもっと知る

当院の理念

わたしたちは医療・介護領域で
ワクワクする活動を通して
暮らしを豊かにします

当院は、病気を治すだけでなく、医療・介護の知識と資源を用いて、患者さんの「暮らし」を豊かにしたいと考えています。在宅医療は、治療が主目的である入院治療と違い、患者さんの日常を医療面で支えるためのものです。生活しやすくするために薬剤を調整したり、苦痛をできる限り取り除くのはもちろんのこと、普段から大事にしていることを続けるにはどうすればいいのか、身近な人とどんな時間を過ごしたいのか、納得しながら人生の最期に向かうために何をしたいのかといったことを、ご本人やご家族と一緒に考えます。

患者ご家族インタビュー「かけがえのない時間を一緒に作ってくれる診療所」

「関係の質」を重視する診療所

おうちの診療所では、「関係の質」を重視しています。関係の質とは、米マサチューセッツ工科大学(MIT)の研究班の「結果の質からではなく、チームの関係の質を高めることから始めることで好循環が生まれ、最終的には結果の質にもつながる」という報告からきているキーワードです。関係の質を高め、職種の壁がないフラットな状態になれば、全てのスタッフが気軽に自らの気づきや疑問を投げかけられます。訪問診療に関わる医師や看護師、理学療法士(PT)、作業療法士(OT)などのセラピスト、事務、地域連携、ドライバーなどが、それぞれの視点で意見を伝え合うことが、高い診療の質につながるという実感から、当院では関係の質を重視するようになりました。

患者さんの「生活」を丸ごと見ている在宅医療では、事務が電話対応で聞いた一言や、看護師のケアの専門性から見たポイント、セラピストの動きの専門性から出た意見などが、患者さんの暮らしをより豊かにしていきます。

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医師とはまた違う専門性を持つ「セラピストの視点」

スタッフ間だけでなく、診療所と患者さんの関係の質も重要です。あるとき、変形性膝関節症の診断がついているけれど、医療介入はずっと拒否しており、閉じこもりのようになっていた方がいました。当院でも最初は診療をさせていただけなかったのですが、定期的に訪ねて会話を続けることでお茶を出してもらえるようになり、お土産をおすそ分けするなどご近所さんのようなお付き合いをする中で、ある日セラピストに「もう一度外に言ってみたいな」と漏らしてくれるようになりました。その方はそれを機に、膝の注射や痛み止めなど治療介入ができるようになり、リハビリも行ってついに歩けるようになりました。このように患者さんの日常の中にある在宅医療では、関係の質が診療の質に直結するケースは少なくないのです。

関係の質を高めるための取り組みとしては、試行錯誤が続いています。現在、毎週月曜日は定期の訪問診療を入れず、診療部会や業務改善会議、全体会議などミーティングを行いコミュニケーションを増やす日としています。また、月に1度は「関係の質ワーク」として、ランダムにペアになったスタッフ同士でじっくり話をする機会を設けています。半年に1度は「関係の質DAY」と銘打ち、当院の最近の業績やビジョンの共有、診療所を良くしていくためのワークショップを丸1日かけて行います。

全ての取り組みが上手くいっているとは言えない面もありますが、「どうすれば関係の質が高い組織になれるのか」を一人ひとりが考える診療所でありたいと考えています。

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2022年秋の「関係の質DAY」の様子。おうちの診療所 中野の地下イベントスペースにて。

行動指針3つの柱

当院は、理念に合わせた行動指針を策定しています。診療所のフェーズに合わせて更新することを目標としています。現在使用している、2022年の関係の質DAYで策定した行動指針が次の通りです。

①心理的安全性を担保して関係の質を上げよう
・働きたくなる職場作りをしよう
・リスペクトをもって助け合おう
・思ったことを自分の言葉で伝えあおう
・挑戦するマインドを持ち、アクションしたことを称えられる組織であろう
・答えのない問に向き合い、学びと成長を続けよう

②診療で一定の質を維持し効率的に遂行しよう
・他事業所もチームの一員と考え協業しよう(はやく、ていねいに)
・患者さんの日常(ふつう)を守ろう
・毎月の目標を達成するために自分ができる行動を考えよう
・QI-8を意識して、行動しよう

③余白を大切に、ワクワクをつくりにいこう(おもしろく)
自分自身のワクワクも大切に
・それぞれのwillややりたいことを実現できるような職場を目指そう

「働きたくなる」職場であるために

おうちの診療所は、ICTを活用しDX(Digital Transformation / デジタルトランスフォーメーション)を推進している職場です。クラウド型電子カルテで情報を共有しながら、日々の連絡にはSlackを用い、マニュアルなどをNotionで構築しています。Googleドライブやスプレッドシートなども積極的に活用しています。誰でも、どこにいても必要な情報にたどり着けるようにすることで、業務のタイムラグを減らし、効率化を進めています。

DX化を進めたことで、さまざまな状況の方が働きやすい環境をつくる挑戦もできるようになりました。関係の質を掲げている診療所なので、基本は診療所に来てコミュニケーションを取ることが欠かせません。ですが、できる限り、職種ごとに柔軟な働き方ができるよう、一緒に考える診療所でありたいと考えています。

つわりに配慮した働き方(当院看護師インタビュー)
子の体調不良で出勤できない!ICTを活用した柔軟な働き方(当院医師インタビュー)

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どうすれば働き続けることができるか、柔軟に考えます

他事業所もチームの一員と考え協業しよう

おうちの診療所では、当院のカルテに記載したものとほぼ同じ内容で、その日の診療や方針について記載したレポートを毎回作成し、訪問看護ステーションやケアマネジャー、薬局など関係各所にお送りしています。患者さんの療養方針を、関わっている事業者全体で共有することで、一貫したケアを受けることができます。

また、やりとりの多い訪問看護ステーションや薬局にはSlackに参加いただいています。院内のスタッフ全員が目にすることができる場所に、テキストで直接連絡いただくことで、伝聞を減らし、対応すべきスタッフが直接反応することができます。

おうちの診療所では、月に1~2回、院内・外を対象とした勉強会を開催しています。院外の近隣事業者向けにも勉強会を開催するのは、当院の診療の意図をお伝えしたり、連携いただく事業者も含めて疾患や病態に関する知識をアップデートしていくことで、地域を支える医療・介護レベルそのものが向上すると考えているからです。

▶おうちの勉強会に参加を希望される近隣事業者の方は、こちらからご連絡ください。過去にどのようなテーマで勉強会を開催しているかもご覧いただけます。

在宅医療の質の指標「QI-8」

在宅医療は、患者さんのご自宅に医師が訪問して診療します。自宅で医師と患者さんが1対1になる訪問診療は、診療がブラックボックス化しやすいもの。そこで、おうちの診療所は患者さん(診療)、診療所(持続可能性)、国(医療費)が三方良しになるような質の指標、「QI-8」を設定しました。おうちの診療所が考える「不適切な診療」があれば「QI-8」のどこかに歪みが表れると考え、日々のカンファレンスでバランスを確認しています。

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おうちの診療所が在宅医療の質を担保するために掲げる「QI-8」

QI-8は、在宅医療の質を測るために、当院が独自に定めた指標です。事務スタッフも含め診療所全員で協力して、開院時から記録しています。記録した情報はデータベース化し、自分たちが行った診療を客観的に見直すための材料として活用しています。

「質」という定量評価しにくいものをあえて数値指標化しているのは、自分たちが目指す「質の高い医療」をエビデンスのあるものにしたいという思いからです。QI-8は、全ての指標を上げればいい、下げればいいというものではなく、あくまでバランスを見ています。

例えば、緊急往診率を下げることだけを目標にすれば、どんな場合でも緊急往診をしなければ達成できてしまいます。しかし、それでは本来は在宅医療で対応できた患者さんまで救急車で搬送される可能性が高まり、⑥の「病院搬送後入院が必要だった割合(≒本当に搬送が必要だった人の割合)」は低下するでしょう。適切に緊急往診し、本当に病院での加療が必要な患者さんのみ適切に搬送することができていたのか、この数値を振り返ることで検証します。

ワクワクしながら働くために

おうちの診療所では、自分自身がワクワクしながら働くために、本業+αの業務に参加してくれることも歓迎しています。例えば、1年に1回制作している、当院の特徴や取り組みをまとめた冊子は、企画から文章の執筆、写真の撮影、専用ソフトを使ったデザインに至るまで、全て任意の広報や事務、看護師が内製しています。普段の業務とは少し違う話をしながら作業できるのも楽しいポイントです。

ほかにも、クリエイティブ活動や地域活動を行っており、希望者ができる形で参加しています。

おうちの診療所についてもっと知る

ここまでお読みいただき、ありがとうございました!

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2022年秋のおうちの診療所スタッフ(SNS掲載NGのスタッフをぼかしています)

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